日記
一枚の写真ばかり見て過ごしている日々があった。
大好きな人とショートケーキが写った写真。
後ろは部屋。
無かったことになることばかり恐れていた。
みんな知らないから。
ふたりしか知らないことをひとりで知っていても
怖くなるだけだって知った。
ふたりしか知らないことはあんなにも安心だったのに。
「死にたいって毎日思ってた。」
その言葉を聞いても私は驚かないけど
よくあることだって思ってるわけじゃなくて
どうして生きていてくれてありがとうっていうきもちは
口に出すのが難しく感じてしまうのだろう。
どうしてここまで来てくれて嬉しいって
じょうずに言う術を、ずっと、知らないのだろう。
生きろ。
誰に言いたいわけじゃなく、言いたい。
生きろ。
ここにいる。生きてる。それはここまで来たからだ。
生きるって今ここにいるってことなんだ。
私は今はもう、写真ばかり見て
なくなることばかり恐れている女の子じゃない。
空も、人も、見てる。
目の前にあるものを、ちゃんと見てる。
私がここにいることが
全部
いてくれてありがとうっていうことなんだって
きっと伝えられる。